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2007/10/14 (列伝)17:ゼノン「批判」



アンティステネスの説は大部分が納得できないと言った男に対して、
ゼノンはアンティステネスのソポクレスに関する文章を持ち出して
「この文章には何か立派なことがあると思うかね」と尋ねた。
「自分には分からない」と答えた相手に、ゼノンはこう言った。
「それで君は恥ずかしいと思わないのかね。アンティステネスの言っている
  ことに何かまずいことがあったときはそれを記憶しておきながら、何か立派な
  ことがあるときにはそれをしっかりと掴まえておこうとしないのは」


「恥ずかしいと思わないのかね」というのは、ギリシア哲学者の言い方としては
珍しくないものだ。
しかし誰に対して?

武満徹は、何か決断を迫られるような時にはいつも思い出す何人かの大切な
友人がいたそうだ。そして、その何人かに対して恥ずかしくない決断を行おうと
つとめていたそうだ。

自分にとって大切な人のことを思い浮かべる。
そんなことだけで、われわれはより良く生きていくことができる。

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