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2006/10/07 (列伝)16:ディオゲネス「犬の均衡」



アレクサンドロス大王があるときディオゲネスの前に立って、
「余は、大王のアレクサンドロスだ」
と名乗ると、
「そして俺は、犬のディオゲネスだ」
と彼は応じた。


「犬!」と嘲りを受けるだけでなく、ディオゲネスは自称犬でもあった。
大王(まぎれもなく本物の大王)の前で、俺は犬だと応じる平衡感覚は、
白昼ランプで人間を探す感覚と等しい。

彼が探しているのは人間であり、人間という貴い存在の前には、不完全な
精神など犬でしかないのだ。


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