最近読んだ本としては、平野啓一郎の「滴り落ちる時計たちの波紋」が面白かった。 その技巧、小説に対する真剣な姿勢、書き殴りでない彫琢された「作品」。 読み甲斐がある。 そして「最後の変身」に凝縮されたような同時代性、正面から描かれたわれわれの 世代の困難と甘え。 高校の頃だったか、大江健三郎の「人間の羊」を読んだ時に感じたような「厭な所を 容赦なくベロベロと舐め回された」ような感覚。 平野啓一郎、凄い作家です。もっともっと読まれるべきだ。 最近観た映画としては、「ニュー・シネマ・パラダイス」が良かった。 まあいろんな意味で面白いんですが、やはり最後にアルフレードの片見の フィルムを映写する例のシーンはなんとも感動的だ。 こういう感じというのは「映画」独特のもので、映画を観るということの楽しみの一つだ。