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2006/07/31 (列伝)9:ディオゲネス「無礼に対する」
ある人がディオゲネスを豪奢な邸宅に案内して「ここでは唾を吐かないように」と注意すると、
彼は咳払いを一つしてから、その人の顔面に痰を吐きかけて言った。
「もっと汚い場所が見当たらなかったから」
無礼に対するに、耐えることは徳の高い行為である。
ソクラテスは殴られても蹴られても、それに耐え続けていたのだ。
しかしソクラテスの場合は、怒りを感じようにも相手が相応の知性を
もっていないのではその気持ちさえ湧いてこないという、自分中心の
捉え方であった。
この時、殴り蹴り続けた人たちにとっての最善の対応とはどんなものだろうか。
ディオゲネスの回答は明確で単刀直入で直線的で妥協が無い。
阿呆には、おまえは阿呆だと分からせることが有益なのである。
そしてそれを知らせるために最悪の手段を瞬時に探しあてるところが
ディオゲネスの知性なわけだ。
この男に腹芸など通用しない。
……しかし汚い男だね。
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