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2004/07/25 (雑談)ロボコップを見た


どうもこのところ、「以前見たことのある映画を再度見る」ということが多くなっている。
「おろしや国酔夢譚」やら「LEON」やら……
そして遂にロボコップ!
DVD まで購入したが再度見るかどうかは非常に怪しいところだ。

1988年に公開された映画で、確かに当時流行した記憶はある。ストーリーよりもそのキャラクターの
コミカルで破天荒な容姿が(それだけが)印象に残っている。

長い間俺の中で「どーでもいい映画」という引出しに投げ込まれていたのだが、数年前偶然テレビで
やっていた「ロボコップ3」を途中から見たことで事態は少し変化した。
いや、ロボコップ3は酷い映画だった。ロボット警官が背中にブースターをしょいこんで空を飛んだ
のには参りました。しかも敵はカネミツ社の忍者ロボというのだから堪らない。
で、俺は某T.S.氏にそれを話した。
「こんなアホ映画だぜぇー」
しかしそれに対して意外なコメントが得られた。
「いや、1は良かったんだけどね。当時としては先進的な暴力描写と、暗目の世界観がうまく機能して
いて、単なるアクション系アホ映画ではなかった」


で、この度のロボコップとあいなるわけだ。
ロボット警官が悪を討つ、という漠然としたイメージしかなかったこの映画だが、結果は以下の通り。
(1)暴力描写は、今日の目でみると大したことはない
(2)世界観は確かに暗い。皮肉に満ちている
(3)ロボットか?人間か?というような心理のせめぎあいは弱い(ストーリーの好都合な推進器に過ぎない)
(4)総合的には「笑えるところの多い、まともなSF」

休日に頭と体を休めるために見るものとしては合格点、というレベルだ。個人的には大好きだが。


暴力描写については言うほどのことはない。確かにムゴいシーンなどもありショックはあるのだが、
今となっては「開拓者に与えられる賞讃」以上のものは出せないだろう。

しかしこの世界観はなかなかよろしい。
まずは映画の途中に挟まれるTVコマーシャルやニュースの内容がイカレてる。家族が4人で楽しそうに
ゲームをやっていて負けそうになった息子か誰かの打つ手は「水爆投下!」、商品名は NUKEM ときた
もんだ。
映画の中で散発的に見えるディテールが「悪い方向にちょっと突き進むとこうなっちゃうような未来像」
を描いているが、それらがどれもこれもユーモアを伴っていて、ブラックジョークの喜びを味わわせて
くれる。

「ブレードランナー」のような先の未来のことではなく、みんなタイヤの付いた普通のパトカーで
仕事をしている。そんな近未来のデトロイトに「ロボコップ」だけが異常な未来性を滲ませている
というアンバランスも笑える(だいたい「ロボコップ」という言葉が笑える)。

ザ・娯楽作品、といった塩梅。



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